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アスパラガスを漢字で書いたら…?
2017.05.02
春の野菜は色が鮮やかで食卓が華やかになりますね。
「アスパラガス」も春の野菜の1つですが、この「アスパラガス」には、漢字を使った書き方もあることをご存知ですか?
それは、「石刁柏」(『広辞苑』第5版、岩波書店、1998年)と、 「竜髭菜」(『難読漢字辞典』、三省堂、2009年)です。
この「竜髭菜」は、アスパラガスの葉が竜のヒゲに似ているからつけたものか、とも考えられますが、なぜこんな漢字を使うのか厳密には分かりません。
ただ、「竜髭菜」という漢字名は、中国の俗語がもとになっているようです。明治から昭和にかけて活躍した植物学者、矢部吉禎(やべよしさだ)氏が1912年に書いた『南満州植物目録』では、「アスパラガス」に「龍鬚菜(俗)」という漢字名がつけられています(「鬚」もヒゲの意味)。「龍鬚菜」の後ろに、「(俗)」という注記があることから、矢部氏は当時の満州(中国の東北地方)に広まっていた俗語を採用して、「龍鬚菜」をアスパラガスの漢字名としたようです。
なお、『南満州植物目録』(1912)より古い、『訂増英華字典』(William Lobscheid 編・井上哲次郎訂増、1884)でも、アスパラガスに「龍鬚菜」という漢字名が与えられています。矢部氏がこの書を参考にしたかどうかはわかりませんが、これも、William Lobscheid氏が1866年に香港で出版した英中辞典、『English and Chinese Dictionary』の漢字名をもとにしたもので、「龍鬚菜」が中国由来の漢字名であることは間違いがなさそうです。
ちなみに、アスパラガスが日本で食べられ始めたのはずいぶん最近のことで、北海道の開拓のため、1871年に食用の種子が持ち込まれたのが初めてのようです。
食卓に「アスパラガス」が出てきたら、漢字も思い出してくださいね!
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