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子どもの学びに「中2問題」が発生!?東大・ ベネッセ共同研究の調査結果発表
2017.05.29
今日は、2017年4月に公表された東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究による「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」から気になる情報をご紹介します。
「子どもの生活と学びに関する親子調査」とは、東京大学とベネッセが共同で同一の親子(小学1年生~高校3年生まで、約2万1千組)を対象に行っている調査です。同じ親子に継続して調査を行うことで、経年変化を追うことができるという興味深い調査です。2年目となる2016年は、子どもの学習の自立をテーマに小学4年生~高校3年生までを対象に調査が行われました。その結果、以下のような結果が出たと発表されました。
1.中学2年生と高校1年生は1年前(中学1年生、中学3年生の時)よりも学習時間を減らす子どもが5~6割。
学習時間の平均は、小学1年生から中学1年生まで堅調に増加するものの、中学1年生から中学2年生にかけては8分減少していました。さらに中学3年生から高校1年生にかけては 31 分減少していました。同じ子どもの変化を 1 年間追跡した結果では、中学2年生の約半数、高校1年生の 6 割が前年よりも学習時間を減らしていることがわかりました。
2.「勉強が嫌い」と答える人は中学1年生で10ポイント以上も増加。中2で半数を超えて6割近くに。
勉強が「嫌い」(「まったく+あまり好きではない」、以下同様)と答えた人は、小学1年生~6年生では 2~3割程度でした。ところが、小学6年生から中学2年生にかけて 26.0 ポイントも増加し、中学2年生で約6割に達していました。
上記の問題が中学2年生を中心に顕著になっていることから、東大・ベネッセはこれらを学習における「中2問題(プロブレム)」と呼んでいます。中学2年生の時期に学習する内容は、高校進学に向けて重要となるものも多いため、この時期に学習意欲を損なわないようにしたいところですね。
同調査では、1年前の調査では「勉強が嫌い」だったが「好き」に変わった人が各学年で1割程度いるという結果が報告されています。さらに、1年間で勉強が「嫌い」から「好き」に変わった人の傾向としては、1年前より学習時間が増えている、成績も上昇している、内発的な動機づけによる高い学習意欲を持ち、自分なりに学習方法を工夫している、という結果が出ています。
注目したいのは、学習意欲のもととなる動機です。「親に叱られたくないから」といった外発的な動機づけでは「勉強が嫌い」なままになる子が多いのに対し、「新しいことを知るのがうれしいから」といった内発的な動機づけを持った子どもは、「勉強が嫌い」から「好き」に変わりやすい傾向にあるようです。
どうしても親の立場からすると、子どもが勉強していないと、「成績が悪くなる!」「勉強しないと部活や趣味をしてはダメ!」と言ってしまいがちですが、博物館や科学館など知的体験ができる場所へ出かける、子どもと一緒に親も勉強してみるなど、新しい知識を得ることの喜びを一緒に味わう(体験する)ということも、勉強を促すアプローチ法として取り入れてみると効果が出るかもしれませんね。
本調査結果は、Webサイトでも公表されていますので、詳しい情報を知りたい方は、下記のリンクからご覧ください。
<参考リンク>
「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」(東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究)
教育・子育て
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