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日本漢字学会の第1回(2018年)研究大会が開催されました。
2018.12.08
「日本漢字学会」の第1回研究大会が12月1日(土)・2日(日)に京都大学で開催されました。2日間で会員・非会員を含め延べ約300名が参加し、漢字にかかわる様々な分野の研究発表に聞き入っていました。
同学会は2018年3月29日に、公益財団法人 日本漢字能力検定協会が、日本における漢字文化研究のより一層の振興をはかるため、全国の研究者に呼びかけたことがきっかけとなり発足したもので、11月28日現在の会員数は244名、12歳から84歳までの幅広い年齢の会員が所属しています(日本漢字学会発表)。
大会1日目は、会員総会に続き、4会場に分かれて、口頭発表15編、ポスター発表2編の合計17編の研究発表がなされました。発表の内容は、中国の伝統的な文字学から日本の古辞書や漢文、書道、医学分野の用語、台湾の言語景観、チュノム(ベトナムの民族文字)など多種多様。今までお互い交流がなかったような様々な分野の研究者が会場に集結し、活発な意見交換がなされました。漢字にかかわる様々な事象を取り扱う日本漢字学会ならではの、非常に充実した研究大会となりました。
2日目には、シンポジウムと記念講演が開催されました。シンポジウムでは、同学会の会長である阿辻哲次京都大学名誉教授の司会進行により、大手出版4社の辞書編集者による電子版漢和辞典のプレゼンテーションとパネルディスカッションが行われ、参加者たちはIT技術による漢和辞典の進化を実感しました。漢和辞典の販売が年々減少している中、次のビジネスチャンスにつながるような、思いがけない要望も参加者から出され、刺激的なシンポジウムとなりました。
続いて行われた記念講演では、印刷博物館館長の樺山紘一東京大学名誉教授が登壇。「漢字明朝体が来た道」と題して、現在日本で最も広く使われている書体である明朝体が、禅僧やキリスト教の宣教師などによって多様なルートで日本にもたらされた歴史を紹介し、西洋思想文化史の専門家ならではの大きな歴史観で文字文化を解説しました。漢字は、西洋においても19世紀からその字形の多様さに関心が高かったことを窺い知ることができました。
また、 研究発表の前には、役員会および会員総会が開催され、第2回研究大会は、来年11月30日(土)・12月1日(日)の2日間を候補として、東京大学駒場キャンパスで実施されることが採択されました。次年度はさらに充実した研究大会になることが期待されます。
なお、日本漢字学会に関するお問い合わせは、学会ホームページをご覧ください。
<関連リンク>
日本漢字学会ホームページ https://jsccc.org/
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