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令和4年度「日本漢字能力検定協会賞」を受賞! お笑い芸人きくりんさんに聞く“漢字学習の道”【後編】

2023.11.29

令和4年度「日本漢字能力検定協会賞」を受賞! お笑い芸人きくりんさんに聞く“漢字学習の道”【後編】

 こんにちは、漢字カフェ担当のカンキツです!

 【前編】では見事、漢検準1級で令和4年度「日本漢字能力検定協会賞」を受賞された菊地友和さんことお笑い芸人のきくりんさんに、「日本漢字能力検定 成績優秀者 表彰式」や協会賞を受賞されるまでの道のりについてお話を伺いました。【後編】では、きくりんさんの1級・準1級合格に向けた漢字学習方法をご紹介します!

Q.きくりんさんが考える漢字の魅力とは?

漢字一文字の中にある情報量の多さだと思います。例えば「山」「川」のように、見た目の形が何かを表わしているっていうのはとても絵画的で面白いですよね。それはアルファベットにはない特徴です。また漢字一文字が意味を持っているっていうのも、なかなか文字として凄いことだなと思います。例えば「白熊」という漢字は、たった二文字で「白いクマ」を表わしているじゃないですか。英語だったらwhite bearというようにアルファベットが何文字も必要なのに、漢字ならたった二文字で表せるってなかなか凄いことで、文字に込められた情報量が圧倒的だなと思いますよね。他にも「国際連合」って言われたら、たった四文字ですけど意味を理解できますからね。この伝わり方が凄いですよね。

ちなみに僕が選ぶ2023年の「今年の漢字®」は「大」です。野球が大好きなので、大谷翔平選手の活躍と阪神タイガースの優勝による大阪の盛り上がりから「大」を選びました。

Q.きくりんさんの漢字の学習スタイルを教えてください。

受検を重ねる中で、学習スタイルも変化してきています。最初は参考書とノートを使って一人でやっていましたが、それだけだとやっぱり1級まで来ると合格には辿り着かないので、今ではかなりインターネットを駆使していますね。同じく1級を受検されている方とインターネットサイトやX(旧Twitter)で相互フォローをして情報交換をしたり、先駆者の情報をいただいたりしながら学習を進めています。

どんな情報を交換するかというと、たとえば合格に向けて重視すべき学習ポイントや苦手分野の学習方法についてです。「この大問の点数が全然伸びないんですけど、どうすればいいですか」みたいなことを誰かがつぶやいたりすると、先駆者たちがそれを嗅ぎつけて(笑)、コメントを返してくれるんですね。「その分野はそこまで高得点を取らなくても合格できますよ」とかね。他にも「辶」(2点しんにょう)と「辶」(1点しんにょう)の違いとか、許容字体とか気になることがあるじゃないですか。そういう細かいことは、みんな結構インターネットで調べていると思います。漢検準1級に合格したSnow Manの阿部亮平さんも、色々インターネットで情報を集めていましたよ。学習を進めていくにあたって有用な情報も得られるし、やりとりをすることでお互いに学習モチベーションの維持・向上ができるんです。特に上の級に行けば行くほど不安になってくると思うので…。僕もそうです。そういう交流がなかったら準1級に5回落ちて1級に4回落ちてという状況にたった一人の勉強で耐えられたとは思えないですね。勉強仲間の存在が非常に支えになっています。僕は漢字検定以外にも他の検定を受けているんですが、そちらはただ黙々と参考書と向き合っただけでしたので、漢検の場合は勉強仲間と支え合うネットワーク文化が特に発達しているように感じます。

また学習に使う道具も変化してきています。私の場合はパソコンや電子パッドを使っていまして、これも本当に現代の学習スタイルだと思います。1級(約6,000字)ではたくさんの数・量の漢字を書かないといけないので、ノートを開くとか消しゴムカスが気になるとかで、ノートを取り出すのが億劫になってくる。でも電子パッドなら、いつでもぱっと始められてぱっと消せるので、結構いいですね。

漢検成績優秀者表彰式で受賞者代表スピーチをするきくりんさん

表彰式で受賞者代表スピーチをするきくりんさん

Q.漢検準1級と1級の違いは何だと思いますか?

準1級は、聞いたことのある語彙の範囲で、見たことがある漢字を書けるようになるレベルだと思います。この世に普通に生きていて、目に入ってくる漢字に関してはほぼ制覇した漢字が準1級ではないでしょうか。準1級を取っていれば、もう私生活においては無敵のレベルに達したっていう感覚になりますよね。日常生活の中で分からない漢字はほぼない。「そんな字も書けるんだ!」と周囲に驚かれるレベルにまで達します。

1級は、もうそもそも知らない語彙ですよね。準1級に合格してモチベーションが高まった人が1級の参考書を開くと、そこでもうびっくりしちゃうんですね。知らない漢字ばかり…!!!答えを見てもそもそもその語彙を知らないんです。私生活漢字の最高峰が準1級で、私生活では見かけない漢字に立ち向かえるかどうかという世界に飛び込むのが1級ってことですね。1級で出題される熟字訓や当て字のほとんどを知らない状態なわけです。たとえば1級ではおなじみの動植物の漢字がたくさんあるのですが、その動植物をそもそも知らない。そんな漢字だらけです。そこに飛び込めるかどうかは、僕の場合は「クイズ番組に出たい」という特殊事情(笑)がございましたのであんまり皆さんの参考にならないところですが、せっかく準1級まで来たのだから1級も取ってみたいという気持ちもあると思います。準1級は「準」って付いていますからね。どうせなら1級まで行ってみたいっていう気持ちですね。あとはやっぱり好奇心かもしれないですね。「知らない漢字に出会う」ことへの好奇心が1級受検の始まりだと思います。

Q.準1級挑戦者に向けてアドバイス&1級に挑戦する仲間へのメッセージをお願いします!

自分の体験で言いますと、準1級に関しては参考書で勉強するのがいいと思います。今回、準1級で協会賞をいただきましたけれど、何か特別なことをやったかって言われると特に何もない。参考書を信じて、隅々までやるという正攻法ですね。準1級に関しては特別なことは必要ないと思います。

逆に1級に関しては、正攻法がないような状態にあると思っています。1級受検はかなり不安になると思うんですよね。相当な天才でもない限り、どこかで行き詰まると思うので、それこそ同じ1級を目指してる人と交流し合いながら学習する方がきっといいと思いますし、実際僕も受かった時はかなり周りに支えられていましたね。たとえば『漢検 四字熟語辞典』があることや『漢検 漢字辞典』の後ろにある索引の活用方法も1級合格者の方から教えてもらいました。1級に関しては、合格者の方から色々と情報を得たりインターネットで配信されてる情報を駆使したりしながら学習したほうが、きっと合格につながると思います。あとは1級合格は長期戦だと思った方がいいと思いますね。回ごとに出題内容との相性や難易度差があると思うので、自分にとって相性のいい回がいつか来るんじゃないかと信じて、長期戦で考えた方がいいと思います。僕も長期戦で継続して受検するつもりです。

≪参考リンク≫

日本漢字能力検定 成績優秀者表彰 はこちら
2023「今年の漢字®」Web応募は2023年12月6日(水)締切 はこちら
きくりん【漢字ソムリエ】(YouTube公式チャンネル) はこちら

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