「完壁?完璧?」正しく覚えて得点アップ!その4~漢検・採点現場より⑥~

こんにちは、“漢検採点のプロフェッショナル”ゆーみんです!
「壁」と「璧」、「穫」と「獲」など、かたちがよく似た漢字を正しく使い分けられていますか?学校のテストや入試で「漢字のうっかり失点」をしないためには、これらのまぎらわしい漢字を正確に覚えることが大切です。今回も、採点現場でよく見かける例をいくつかご紹介します!
(→前回の記事はこちら)
★問題★
どちらが正しいでしょう?
①カンペキな出来栄えだった。
完壁? 完璧?
②リンゴのシュウカクが始まった。
収獲? 収穫?
③手足に赤いハンテンが現れた。
斑点? 班点?
④論旨のアイマイな文章だ。
曖味? 曖昧?
★答え★
① ×完壁 〇完璧 (「壁」「璧」ともに中学校で学習する漢字)
「完璧」は故事成語です。ストーリーと一緒に覚えてしまいましょう!
中国の戦国時代、天下の宝石である「和氏(かし)の璧(たま)」を、趙(ちょう)という国の使者・藺相如(りんしょうじょ)が傷ひとつつけず国に持ち帰った、という故事が「完璧」の由来です。(詳しくはこちら)
ちなみに、この藺相如という人物は超優秀。「怒髪冠を衝(つ)く」「刎頸(ふんけい)の交わり」などの表現もこの人のエピソードが元になっています。ぜひ一緒に覚えてみては?
一方、下が「土」の「壁」は、「壁面」「障壁」「絶壁」など、かべや崖を表す語に使われますね。
【読み方】※常用漢字表内の読み(以下同)。
璧(ヘキ)
壁(ヘキ/かべ)
※漢字をクリックすると、当協会運営のwebサイト「漢字ペディア」で詳しく調べることができます(以下同)。
② ×収獲 〇収穫 (「獲」「穫」ともに中学校で学習する漢字)
「収穫」は「農作物を取り入れること」という意味なので、穀物を表す「(のぎへん)」が部首の「穫」を用いるのが正解。
一方「獲」の部首は「(けものへん)」です。「獲得」「捕獲」「漁獲」「乱獲」など、「つかまえる」というイメージの語に使われますね。
③ 〇斑点 ×班点 (「斑」は中学校で、「班」は小学校6年生で学習する漢字)
「斑点」には「文」をパーツに持つ「斑」を使います。
「文」には、「あや。もよう。いろどり。」という意味があります。「斑点」は「ぽつぽつとまばらに散らばる点」、つまりもようのことなので、「文」を持つ「斑」の字を使うのですね。
一方「班」は、漢字ペディアでなりたちを見てみると、「玨(かく)(二つのたまが合わさったもの)と、刀(かたな。は変わった形)とから成る。玉のあいだに刀を入れて二つに割ることから、「わける」意を表す。」とあります。ここから、「組み分けされたグループ」の意味を表すようになったのですね。
④ ×曖味 〇曖昧 (「味」は小学校3年生で、「昧」は中学校で学習する漢字)
「昧」には次の3つの意味があります。
①夜明け。夜明けのうすぐらいとき。「昧爽(マイソウ)」
②はっきりしない。あやふや。「曖昧(アイマイ)」
③道理にくらい。おろか。「蒙昧(モウマイ)」
一つ目の意味から夜明けのぼんやりした様子をイメージすると、部首が「(ひへん)」であることも納得できますね。「
(くちへん)」の「味」と間違えないように注意です!
【読み方】
昧(マイ)
味(ミ/あじ・あじ-わう)
いかがでしたか?間違って覚えていたものがあれば、ぜひこの機会に正しい使い分けを覚えておきましょう!
≪参考リンク≫
・漢検で○になる字、×になる字をわかりやすく解説!
→漢検の採点についてはこちら
・さらなる漢字力アップを目指して、漢検を受検してみませんか?
→漢検HPはこちら
≪おすすめ記事≫
・「紙幣?紙弊?」正しく覚えて得点アップ!その2~漢検・採点現場より④~ はこちら
・新聞漢字あれこれ80 誤字の原因を探っていくと… はこちら
≪ゆーみん紹介≫
漢検採点のプロフェッショナル。
趣味は鉄道で日本各地を旅すること。
好きな食べ物はバターサンド。