「紙幣?紙弊?」正しく覚えて得点アップ!その2~漢検・採点現場より④~

こんにちは、“漢検採点のプロフェッショナル”ゆーみんです!
「幣」と「弊」、「懇」と「墾」など、かたちがよく似た漢字を正しく使い分けられていますか?学校のテストや入試で「漢字のうっかり失点」をしないためには、これらのまぎらわしい漢字を正確に覚えることが大切です。今回も、採点現場でよく見かける例をいくつかご紹介します!
(→前回の記事はこちら)
★問題★
どちらが正しいでしょう?
①シヘイを硬貨に両替する。
紙幣? 紙弊?
②職場のコンシン会に出席した。
墾親? 懇親?
③宴会で隠し芸をヒロウする。
披露? 被露?
④マンゼンと学生生活を送っていた。
慢然? 漫然?
★答え★
① 〇紙幣 ×紙弊
「幣」の部首「 (はば)」は、「布」に関係する漢字によく用いられます。
しかし、「紙幣」の「幣」と「布」にいったいどんな関係が?そこで漢字ペディアで「幣」のなりたちを見てみると、「(前略)祭りや贈り物用の布、ひいて、礼物、また礼物の帛(はく)・玉などの財物に代えて銭が用いられるようになったことから、「ぜに」の意を表す。」とあります(出典:『角川新字源 改訂新版』(KADOKAWA)※以下同)。なるほど、お金の元をたどると「布」に行き着くのですね!ここから、お金・ささげもの・贈り物関連は、「 (はば)」の「幣」と覚えられそうです。
【読み方】※常用漢字表内の読み(以下同)。
幣(ヘイ)
弊(ヘイ)
※漢字をクリックすると、当協会運営のwebサイト「漢字ペディア」で詳しく調べることができます(以下同)。
② ×墾親 〇懇親
「懇」の部首は「 (こころ)」、「墾」の部首は「
(つち)」。それぞれ、「懇切」「懇願」、「開墾」「墾田」などの熟語で使われますね。心・気持ちに関係することは「懇」、土に関係することは「墾」と覚えるとよさそうです。
③ 〇披露 ×被露
漢字ペディアで「披」のなりたちを見ると、「(前略)手で開く意を表す。」とあります。ここから、「披」は「ひらく」や「あばく、うちあける」といった意味を持ちます。ですので、「披見(文書や手紙などを開いて見ること)」や、「披露(広く世間に、知らせたり見せたりすること)」といった言葉には「 (てへん)」の「披」が使われるのですね。
一方「被」は、「衣」の形が変化した「 (ころもへん)」が部首。「被」には「こうむる・うける」「着る」といった意味があり、「被害」や「被服」といった語に使われます。語の意味から、正しい部首を選択できそうです!
④ ×慢然 〇漫然
「漫然」は、「はっきりした目的や意識がなく、とりとめのないさま。」を表します。さて、漢字ペディアで「漫」のなりたちを見ると、「(前略)水がひろがる、転じて、とりとめがない意を表す。」とあります。ここから、とりとめのなさや、広がりを表すような語は、「 (さんずい)」の「漫」の字を選べばよいですね。ほかに、「散漫」「漫遊」「漫言」もこの字です。
一方、「心」の形が変化した「(りっしんべん)」の「慢」には、「おこたる」「あなどる」などの意味があり、「怠慢」「慢心」などで使われます。語の意味を考えると正しく使い分けできそうです!
いかがでしたか?間違って覚えていたものがあれば、ぜひこの機会に正しい使い分けを覚えておきましょう!
≪参考リンク≫
・漢検で○になる字、×になる字をわかりやすく解説!
→漢検の採点についてはこちら
・さらなる漢字力アップを目指して、漢検を受検してみませんか?
→漢検HPはこちら
≪おすすめ記事≫
・意外な落とし穴!大量失点につながりかねない書き方って?~漢検・採点現場より②~ はこちら
・新聞漢字あれこれ54 「董」と「薫」 姓で使うのは… はこちら
≪ゆーみん紹介≫
漢検採点のプロフェッショナル。
趣味は鉄道で日本各地を旅すること。
好きな食べ物はバターサンド。
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A_Team/PIXTA(ピクスタ)