「成積?成績?」正しく覚えて得点アップ!その3~漢検・採点現場より⑤~

こんにちは、“漢検採点のプロフェッショナル”ゆーみんです!
「積」と「績」、「概」と「慨」など、かたちがよく似た漢字を正しく使い分けられていますか?学校のテストや入試で「漢字のうっかり失点」をしないためには、これらのまぎらわしい漢字を正確に覚えることが大切です。今回も、採点現場でよく見かける例をいくつかご紹介します!
(→前回の記事はこちら)
★問題★
どちらが正しいでしょう?
①理科のセイセキが上がった。
成積? 成績?
②計画のガイヨウが発表された。
概要? 慨要?
③プライバシーのシンガイに抗議する。
侵害? 浸害?
④五十メートル走のタイムをソクテイした。
側定? 測定?
★答え★
① ×成積 〇成績
(「績」は小学校5年生で学習する漢字)
漢字ペディアで「績」のなりたちを見ると、「糸を「つむぐ」意を表す。」とあります(出典:『角川新字源 改訂新版』(KADOKAWA)※以下同)。「紡績(糸をつむぐこと)」もこの字ですね。
一方「積」を見ると、「いねを重ねつむ、ひいて「つむ」意を表す。」とのこと。穀物を表す「(のぎへん)」が部首なのは、ここから来ているのですね。
ではここで、「績」と「積」で間違いやすい語を並べて見てみましょう。
績:業績・功績・実績・成績・戦績
積:積載・蓄積・面積・積雪・累積
「績」の意味には「糸をつむぐ」のほか、「てがら・仕事の成果」があります。麻などから糸を作るには、繊維をとったり、つないで長くしたりと、多くの作業が必要です。そうした大変な作業を経て、最終的に目的を達成することから、「てがら」や「仕事の成果」という意味に展開しました。そのため、成し遂げた仕事や成果に関わる語には「(いとへん)」の「績」を使いましょう。
一方「積」の語を見ると、単純に「つむ・つもる」に関する語に使われていますね。これらの語には、「稲を積む」様子をイメージして「(のぎへん)」の「積」、と覚えましょう。
【読み方】※常用漢字表内の読み(以下同)。
積(セキ/つ-む・つ-もる)
績(セキ)
② 〇概要 ×慨要
(「概」は中学校で学習する漢字)
漢字ペディアで「概」のなりたちを見ると、「ますの上にもりあがった米をかきならして平らにする棒、ひいて「おおむね」の意を表す。」とあります。「概」の「(きへん)」は平らにならす「棒」からきているのですね。「おおむね」という意味を含む語、例えば「概況」「大概」「一概」などには「概」を使いましょう。
一方「慨」は、「心」の形が変化した「(りっしんべん)」が部首で、「なげく・いきどおる」などの意味があります。「憤慨」「感慨」など、心情を表す語には「慨」を使いましょう。
③ 〇侵害 ×浸害
(「侵」は中学校で学習する漢字)
「侵」の部首は「(にんべん)」なので、人の行為を表す「侵害」「侵犯」「侵略」などに使われます。
一方「浸」は「(さんずい)」なので、「浸水」「浸潤」「浸透」など水に関する語に使われます。
「侵」と「浸」は、部首と語の意味のつながりがわかりやすい例ですね。
【読み方】
侵(シン/おか-す)
浸(シン/ひた-す・ひた-る)
④ ×側定 〇測定
(「測」は小学校5年生で学習する漢字)
漢字ペディアで「測」のなりたちを確認すると、「水の深さの寸法をはかる、ひいて「はかる」意を表す。」とあります。なるほど、だから「(さんずい)」が部首なのですね。「計測」「目測」「推測」など、「はかる」ことを表す語には水深を測る様子をイメージして「測」を使いましょう。
一方、「側」には「そば」「物の片面」などの意味があり、「側近」「側面」などに使われます。これらの語を使う時には、人がそばにいたり、片側に集まっていたりする様子をイメージすると、「(にんべん)」の「側」と結びつきそうですね。
いかがでしたか?間違って覚えていたものがあれば、ぜひこの機会に正しい使い分けを覚えておきましょう!
≪参考リンク≫
・漢検で○になる字、×になる字をわかりやすく解説!
→漢検の採点についてはこちら
・さらなる漢字力アップを目指して、漢検を受検してみませんか?
→漢検HPはこちら
≪おすすめ記事≫
・「殻物?穀物?」正しく覚えて得点アップ!その1~漢検・採点現場より③~ はこちら
・新聞漢字あれこれ44 コロナ渦の影響はいかに? はこちら
≪ゆーみん紹介≫
漢検採点のプロフェッショナル。
趣味は鉄道で日本各地を旅すること。
好きな食べ物はバターサンド。