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室町時代の日本語の発音がわかる!貴重な天草版をweb公開!
2019.04.03
みなさんは天草版『平家物語』『伊曽保物語』『金句集』をご存じでしょうか。ヨーロッパのキリスト教宣教師が編集した書物であり、室町時代の日本語がわかる重要な資料として注目されています。世界でたった一冊しか見つかっておらず、現在はイギリスのロンドンにある大英図書館に所蔵されています。このたび国立国語研究所(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構)は、この貴重な資料を美しいカラー画像でweb公開しました。その概要を早速ご紹介します!
・天草版とは?
16世紀末から17世紀にかけて、イエズス会(カトリック教会の修道会)の人々が、ヨーロッパの印刷技術を用いて主に日本国内で刊行した書物をキリシタン版と呼びます。その中で特に熊本県天草で刊行されたものを「天草版」と言います。また、日本に伝来した西洋印刷技術による初期の印刷物であるため、印刷史上重要な刊行物として注目されています。
・天草版『平家物語』『伊曽保物語』『金句集』とは?
16世紀の日本を訪れたキリスト教宣教師が、日本語学習向けに編集した読本(リーダー)で、3作品が1冊に装丁されています。大英図書館が所蔵する一冊しか見つかっていない、「天下の孤本」です。
・中世日本語の発音がわかる!
当時は、書き言葉と話し言葉が異なっていた加え、発音と文字が大きく離れていたため、かな書きの文語文から話し言葉や発音を知ることは困難でした。
しかし、天草版『平家物語』『伊曽保物語』『金句集』では口語体の文章が、ポルトガル語式のローマ字で書かれています。そのため、室町時代の日本語の話し言葉や発音を知ることのできる、貴重な資料となっているのです。
例えば天草版『平家物語』巻第一の扉紙を見てみると、以下のように書かれています。
“NIFON NO COTOBA TO Hiſtoria uo narai xiran to FOSSVRV FITO NO TAMENI XEVA NI YAVA RAGETARV FEIQE NO MONOGATARI.”
これを日本語表記にすると、以下のようになります。
「日本の言葉とHistoriaを習い知らんと欲する人の為に世話に和らげたる平家の物語。」
ここから、ハ行を「f」の音で発音していたことが分かります。「日本」の発音は「ニホン」ではなく、「ニフォン」に近かったのかもしれませんね!
・web公開の特徴は?
従来、この本は白黒の写真でしか一般に見ることができませんでしたが、今回、大英図書館の協力により、カラー画像のweb公開が実現しました。また、表紙から裏表紙まで、すべて順番に1ページずつ並べることで、大英図書館本の現在の姿をある程度実感できるようになっています。
また、web環境さえあれば世界中のどこでも、誰でも無償で利用できる状態で公開することで、教育の場や出版関係など、様々な場面での利用が期待できます。
いかがでしたか?当時の発音で『平家物語』を音読してみるのも面白そうですね!興味のある方は、ぜひお気軽に下記のリンクより天草版『平家物語』『伊曽保物語』『金句集』の世界をのぞいてみてくださいね。
《参考リンク》
・国立国語研究所プレスリリース
・「大英図書館蔵天草版『平家物語』『伊曽保物語』『金句集』」はこちら
・国立国語研究所ホームページはこちら
・『国研が「ことば」を楽しむサイト『ことば研究館』をオープン!』はこちら
《記事画像》
・トップ画像:Neirfy / PIXTA(ピクスタ)
・『平家物語』巻第一:「大英図書館蔵天草版『平家物語』『伊曽保物語』『金句集』」より
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