イベント・キャンペーン

【読者プレゼントあり!】「今年の漢字」の裏話~道具編~

【読者プレゼントあり!】「今年の漢字」の裏話~道具編~

※募集は終了しました
 こんにちは。「漢字カフェ」担当のカンキツです。

 2023年「今年の漢字」は「税」でしたね。12月12日に京都・清水寺にて森清範貫主が揮毫されたニュースをご覧になった方も多いのではないでしょうか。

 「今年の漢字」は、全国から募集した一年の世相を表す漢字一字の中から最多得票の漢字が選ばれます。2023年は総数147,878票のご応募の中から5,976票を獲得した「税」が第1位となりました。ご応募くださった皆様ありがとうございました!

 さて、1995年の開始から今年で29回目を迎えた「今年の漢字」ですが、今回は歴代の「今年の漢字」を支えてくださっている2大道具「和紙」と「筆」にまつわる裏話をご紹介したいと思います。

和紙の作り手は・・・?
 「今年の漢字」でまず目に入るのが特大サイズの和紙ですよね。真っ白な和紙に、これからどんな漢字が揮毫されるのか…。その瞬間を楽しみにご覧になった方もいらっしゃると思います。

 この特大サイズの手漉き和紙(縦150cm×横130cm)、実は京都伝統工芸大学校の学生さんたちが制作してくださっています!黒谷和紙協同組合の講師による指導のもと、5月から約1か月もの時間をかけて制作してくださった努力の結晶なんです。

和紙制作の様子和紙制作の様子

 和紙を制作された京都伝統工芸大学校 和紙工芸専攻4年の山本藍美さん、三田村萌生さん、川井しおりさんにお話を伺いました。

Q.皆さんが考える和紙の魅力は何ですか?
 まず、いろいろなものに使えるという多様性です。また、和紙は再利用できるので環境保護につながります。
 素材としても強度があり、丈夫で軽くて温かみがあるところが魅力的です。

Q.「今年の漢字」の和紙制作で特に難しかったのはどんな工程ですか?
 学校のカリキュラムや他のプロジェクトと並行したのでとても忙しく、限られた時間の中で取り組んだのですが、思ったよりもスムーズに作業ができました。
 紙漉きで大きなサイズの舟と簀桁(すげた)を使用し、2~4人で紙を漉くので難しいと思いましたが、仲の良さを活かして、ペアを組む2人は最初から息を合わせて漉くことが出来ました。

Q.制作した和紙が「今年の漢字」で使用されることについての感想をお聞かせください。
 入学当初はハガキもまともに漉けなかった私たちが、授業で日々コツコツ努力することで巨大サイズの紙を漉くことが出来るようになり、成長を形として残すことが出来て感慨深かったです。

11月下旬に和紙を納品いただきました!11月下旬に和紙を納品いただきました!

京都伝統工芸大学校 和紙工芸専攻の皆さん、ありがとうございました!

「筆」は広島県熊野産!
 「今年の漢字」の揮毫シーンで目に飛び込んでくるものといえば、あの巨大な筆ではないでしょうか。あの筆は白天尾牛耳兼毫筆(しろあまおぎゅうじけんごうふで)と言って、広島県熊野産のものを使用しています。毛は最高級の白天尾、穂の長さは11.5cm、軸の長さはなんと26cmもあり、軸の一番太いところの直径は約5.5cmもあります!

「筆」は広島県熊野産

(株)古梅園 京都支店様にお話を伺いました。

Q.「白天尾」とは何ですか?
 「白天尾」とは、馬の尻尾の毛のことです。筆の材料に使われる毛は、馬や山羊、イタチ、狸、鹿など様々あり、化粧筆では柔らかさが特徴の山羊の毛がよく使われています。しかし「今年の漢字」のように立って書く場合には、筆先が垂れにくいように堅い毛の方が向いていますし、大きな筆には長さのある毛が必要です。ですので、馬の尻尾の毛、その中でも腰が強く毛が堅い「白天尾」は最適だと思います。

Q.もっと大きい筆も作れますか?
 実は以前、「今年の漢字」で使われる大きな和紙に合わせて、今より大きいサイズの筆を作ろうと試みたことがありました。穂先が長くなれば長くなるほどふっくらした字が書けるというメリットがあるのですが、一方で「今年の漢字」のように直立して書くとなると、穂先が大きすぎると筆先が垂れやすくなります。「今年の漢字」には、今の大きさの筆がちょうどよいと思います。

Q.筆の入手が難しくなっていると聞きましたが?
 理由は大きく2つあります。1つは、原料の毛の入手が困難になっていることです。原料はほぼ中国から輸入しているのですが、動物愛護の風潮で流通量が減ったり、コロナの感染拡大を機に中国政府が野生動物の取引を禁止したりといったことが重なり、原毛の入手が難しくなっています。なお動物愛護に関連して「動物を殺生して筆を作っている」と言われることがありますが、実際には食用の副産物として筆を作らせていただいていますので、筆を作るために無益な殺生をしているわけではありません。
 もう1つは、職人さんが減っていることです。筆職人になるには最低でも5~10年の修行が必要で、小筆・太筆・化粧筆…というように筆の種類によっても作る職人さんが分かれています。筆職人になること自体も大変な上に、国内の書道人口が減少するのに伴い筆の需要が減り、筆職人の仕事では食べていけなくなっているのが現状です。関係者が協力しあって筆作りの文化を残していく努力が必要ではないでしょうか。弊社も裏方として、書道の文化を支えていきたいと思っております。

 今回は、「今年の漢字」に欠かせない2大道具をご紹介しました。和紙や筆の実物を見てみたい!と思われた方は、現在、漢検漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)で開催中の企画展「今年の漢字®展」に足を運んでみてくださいね。

というわけで、今回は、

\漢字ミュージアム招待券を【3名様】にプレゼント/

させていただきます!!!(有効期限:2024年12月末)
応募フォームでは、和紙を制作してくださった京都伝統工芸大学校の学生の皆さんへの応援メッセージも募集中です。ぜひたくさんの声をお待ちしております。

【応募方法】
以下の応募フォームより、必要な情報をご入力ください。
※応募には、漢字カフェメルマガの登録が必要です。
https://ssl.kanken.or.jp/webapp/form/16770_avy_795/index.do

【応募締切】
2024年1月12日(金)
※企画展「今年の漢字®展」は、2024年2月25日(日)までです。

ぜひ皆様からのご応募お待ちしております!

※募集は終了しました

≪参考リンク≫

2023「今年の漢字®」特設ページ はこちら
漢字ミュージアム企画展『今年の漢字®展』 はこちら
京都伝統工芸大学校ウェブサイト はこちら

≪おすすめ記事≫

2020年「今年の漢字」こぼれ話(前編)2020年は「初」だらけ! はこちら
2021年「今年の漢字」こぼれ話 2020年との違いは? はこちら

記事を共有する