姓名・名づけ

漢字の専門家による「名づけ」についてのアドバイス

漢字の専門家による「名づけ」についてのアドバイス

 私たちが漢字について一番真剣に考えるとき。それはもしかしたら名づけの場面かもしれません。

 毎年、複数の団体から名前ランキングが発表され、その傾向に注目が集まります。
 最近では、せっかくの名前なのに"キラキラネーム”だとか”シワシワネーム”と評価されてしまうこともあるようで、名前をつけるのは一苦労。
 いったいどんな名前ならば良いの?と思うかもしれませんね。

 漢字の専門家である早稲田大学教授の笹原宏之先生の「名前」に関する講演内容は、昨今の名づけ事情をわかりやすく解説しています。

 子どもの名前に使える漢字は、常用漢字と法務省が別に定めた人名用漢字です。
 2016年2月現在、人名用として使える漢字は2998字(※)ありますが、読ませ方は自由なので、「音符(メロディ)、奏夢(リズム)、一二三(ワルツ)、三ニー (ミニー)」など、変わった名前も増えてきたとのこと。

そんな中、講演抄録の中で笹原先生は、

 "少子化が進む中、制限された漢字の中で付けられる子の名前は、読み方に個性を求め、いっそう多様化しています。名付けにおいて親に求められることは、過去への振り返り、知識と教養、そして想像力でしょう。”

 "漢字そのものの知識がないと「腥(なまぐさい、けがらわしいなどの意味がある)」「胱(膀胱の胱)」「曖(曖昧の曖/かげる、くらいなどの意味がある)」など漢字の音義を誤解して使ってしまいかねません。”

と述べています。

 「この漢字を使いたい」と思った時に、漢字のもつ意味やその漢字が使われる言葉(熟語)は、調べておいた方が良いかもしれませんね。

 最後の締めくくりに、
 "漢字の運用は自由な方がいいと思っていますが、子供を表現媒体のように扱って、放埒(ほうらつ)にするのはよくありません。子供や社会が幸せになるために、名前にも最低限の社会性を持たせる必要性があると思っています。”
と語られた笹原先生。名前は子供への「最初のプレゼント」ともいえるもの。子供のことを考えて贈りたいですね。

 笹原先生の講演内容を詳しく知りたい方は、以下の講演抄録をご覧ください。

≪参考リンク≫

講演「名字・名前と漢字」笹原宏之先生 生涯学習ネットワーク『会員通信Vol.11』(2013.11発行)掲載

・生涯学習ネットワーク会員通信のバックナンバーページは、こちら
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