姓名・名づけ難読漢字

名字研究家からの挑戦状!(3)西日本編

名字研究家からの挑戦状!(3)西日本編

著者:髙信幸男(名字研究家)

 前回は東日本の名字を紹介しましたが、今回は西日本の名字を紹介いたします。その中でも特に難読な名字は読み方を伏せています。それぞれ何と読むのか、是非チャレンジしてみてください。

<問題>

【近畿地方】

三重県「強力(ごうりき)」・「大陽(たいよう)」・「闇雲(やみくも)」

滋賀県「村長(むらおさ)」・「両輪(りょうりん)」・「鎌足(かまたり)」

京都府「平和(ひらわ)」・「四方(よも)」・「二十一(にそいち)」

大阪府「鼻毛(はなげ)」・「毛穴」・「見学(けんがく)」

奈良県「農業(のうぎょう)」・「出店(でみせ)」・「台所(だいどころ)」

和歌山県「仏(ほとけ)」・「蝉(せみ)」・「団栗(どんぐり)」

兵庫県「正直(しょうじき)」・「住所(じゅうしょ)」・「土産(みやげ)」

【中国地方】

岡山県「鯰(なまず)」・「白髪(しらが)」・「宰相(さいしょう)」

広島県「空(そら)」・「満足(まんぞく)」・「物申

山口県「金魚(きんぎょ)」・「即席(そくせき)」・「田舎(いなか)」

鳥取県「浮世(うきよ)」・「見染(みそめ)」・「声高(こえだか)」

島根県「」・「目次(めつぎ)」・「花子(はなこ)」

【四国地方】

香川県「扇子(せんす)」・「達摩」・「安堵(あんど)」

徳島県「仁義(じんぎ)」・「第十(だいじゅう)」・「切抜(きりぬき)」

愛媛県「客(きゃく)」・「出合(であい)」・「帽子(ぼうし)」

高知県「一円(いちえん)」・「和食」・「茶畑(ちゃばたけ)」

【九州地方】

福岡県「竜(りゅう)」・「冬至(とうじ)」・「義経(よしつね)」

佐賀県「腹巻(はらまき)」・「犬走(いぬばしり)」・「御厨

長崎県「宇宙(うちゅう)」・「五輪(いつわ)」・「微笑(びしょう)」

熊本県「〆(しめ)」・「父母」・「九十九(つくも)」

大分県「入学(にゅうがく)」・「出納(すいとう)」・「御手洗(みたらい)」

宮崎県「帳(とばり)」・「砂糖(さとう)」・「素麺(そうめん)」

鹿児島県「日本(にっぽん)」・「切手(きって)」・「流鏑馬

沖縄県「東風平」・「南風本」・「大工廻

<解答>

【近畿地方】
大阪府「毛穴(けな)」

【中国地方】
広島県「物申(ものもうし)」
島根県「辺(ほとり)」

【四国地方】
香川県「達磨(だるま)」
高知県「和食(わじき)」

【九州地方】
佐賀県「御厨(みくりや)」
熊本県「父母(ふも)」
鹿児島県「流鏑馬(やぶさめ)」
沖縄県「東風平(こちんだ)」・「南風本(はえもと)」・「大工廻(だくじゃく)」

<解説>

 いくつか名字の由来などを紹介します。

●滋賀県「村長(むらおさ)」

役職から生まれた名字です。古代において、日本各地に多くの村が誕生しました。その村を治めるため長(おさ)が置かれましたが、その長が「村長」です。「村主(すぐり)」という名字もありますが、役職は同じです。

●大阪府「鼻毛(はなげ)」

もともとは「髭(はなげ)」という名字でした。そのまま届けても「髭」を正しく「はなげ」とは読んでもらえないのではと考え、誰もが間違えなく「はなげ」と読んでもらえるように「鼻毛」の文字にしたとされています。

●岡山県「白髪(しらが)」

神社から生まれた名字です。髪の毛が白髪になるのは高齢になってからで、白髪が生えるまで長生きできることを願って「白髪神社」や「白鬚神社」が建てられました。その神社の近くに住んだ、または、神社に関係した人が名乗った名字です。

●山口県「即席(そくせき)」

「即席」家の先祖が即興歌人であったことから生まれた名字。殿様から直ぐに和歌を作るよう命じられ、即座に和歌を作り上げたことから、殿様より「即席」の名字を賜ったと伝えられています。

●高知県「一円(いちえん)」

お金の単位から生まれた名字ではありません。ある地域全体を指す言葉で、あたり一円を意味し、その範囲を治めた一族が名乗った名字と考えられます。

●長崎県「宇宙(うちゅう)」

お寺の住職が名乗った名字です。「宇宙」家は、代々お寺の住職をしていて、明治になって名字を届ける際に、宗教の教えの中にある「宇宙感」という言葉から、「宇宙」という名字を名乗ったと伝えられています。

●大分県「御手洗(みたらい)」

神社にある「御手洗の池」が名字の由来です。

●鹿児島県「切手(きって)」

カッパ伝説から生まれた名字と言われています。伝説では、「切手」家の先祖がカッパに腕をつかまれ水の中に引き込まれそうになった時に、その時持っていた鎌でカッパの腕を切り落としたことから「切る手」で「切手」になったと伝えられています。

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≪著者紹介≫

髙信幸男(たかのぶ・ゆきお)
司法書士・苗字研究家。1956年茨城県大子町生まれ。茨城県水戸市在住。日本家系図学会会員、茨城民族学会会員、日本作家クラブ会員。高校生の時から趣味で名字研究を始め、2024年で51年を迎える。その間、全国を旅しながら名字を収集し、それらの名字の由来やエピソードを本に書いたり、講演会等で発表したりしている。

主な出演番組:NHK「熱中時間」「ファミリーヒストリー」、日本テレビ「ニノさん」「スクール革命」「月曜から夜ふかし」「沸騰ワード10」、TBSテレビ「櫻井有吉THE夜会」「水曜日のダウンタウン」、テレビ朝日「クイズ雑学王」「ナニコレ珍百景」「羽鳥慎一のモーニングショー」、フジテレビ「99人の壁」「とくダネ」「さまぁーずの神ギ問」

著書:『難読稀姓辞典』『名字歳時記』(日本加除出版)、『漫画・珍名さん』(芳文社)、『トク盛り名字丼』(柏書房)、『激レア名字クイズ100』(JTBパブリッシング)、『ご当地珍名 見つけ隊』(恒春閣)

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