歴史・文化

書体デザイナーに聞いた。「印刷物の字のカタチ」ってどうやって作られる?

書体デザイナーに聞いた。「印刷物の字のカタチ」ってどうやって作られる?

 Facebookで「いいね!」の他に「超いいね!」「うけるね」「すごいね」「悲しいね」「ひどいね」のリアクションが追加されました。それでもSNSなどで、文章で感情を表すことって難しい。いっそフォントまで変更できるようにして、丸文字や書道風文字が選べるようにしてくれたらこっちの気持ちも伝わりやすいのに!と思うことがあります。

 「文字の書きぶり」は気持ちを表すことができますが、そもそも印刷物の文字ってどうやって作られているの?

 そこで、今回は、「印刷物の字のカタチ」をデザインしているモリサワ文研株式会社のタイプフェイスデザイナー・小田秀幸さんのインタビュー(「漢検生涯学習ネットワーク会員通信Vol.10」掲載)の一部をご紹介します。一つのフォントが出来上がるまでには、どのような道のりがあるのでしょうか…?

◆まずは書体のコンセプトを決定

 ―私達が普段接している「印刷物の文字」ってどうやって作られているんですか?

 「まずは『どのような文字を作るか』というコンセプトを決定します。市場からの要望や流行を反映して作られる書体もあれば、デザイナーが『このような文字を作りたい』と方針を打ち出して作られる書体もあります」

◆文字の大もとは500字で決まる

 「コンセプトが決まると、字のデッサンをします。60ミリ四方の紙に文字を手作業で描いていきますが、ここでは、コンセプトがぶれないように一人のデザイナーで基本となる500字をすべて描き上げます。一つの書体で約一万字ありますが、この500字にはその一万字のほとんどの形状が含まれているのです。」

 ―1つのフォントに1万字もあるのにビックリ。それでも大もとはたったの500字なんですね。それを手作業で書くとは…!職人さんの技が光ります。

◆完成までに2年!

 「そしてその字をもとにして、複数のメンバーで残りの文字を一字ずつ描き上げます。それでも1万字すべてのデッサンを終えるまでに、1年から2年かかります。その後コンピューターに取り込み、デジタル化して様々な修正を加えます。その後もあらゆる角度からの確認を繰り返し、ようやく普段目にする書体となります。」

 ―パソコンや携帯を通して見る文字も、最初はやはり手書き。しかもとてつもない時間と労力がかかっていたのに驚きでした。


 文字に対する小田さんのさらなる想いを知りたい方は、こちらをお読みください↓

≪参考リンク≫

「『漢』感興起 第4回」モリサワ文研株式会社 タイプフェイスデザイナー・小田秀幸さん 「生涯学習ネットワーク会員通信Vol.10」掲載

・生涯学習ネットワーク会員通信のバックナンバーページは、こちら

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