気になる日本語

“減災”にもつながる、「やさしい日本語」って何?

“減災”にもつながる、「やさしい日本語」って何?

 東日本大震災から5年が経ち、改めて大きな災害に備えることを意識した方もいるでしょう。

 備蓄品を確認したり、避難場所や避難経路を確認するといった取り組みも大切なのですが、実は「言葉」によって"減災”を目指す取り組みがあります。

 それは、「やさしい日本語」を使うという取り組みです。

 「やさしい日本語」とは何でしょうか?

 2つの文を比較してみましょう。

  「今朝、A市B町の市道で、乗用車同士による事故が発生しましたが、死傷者はありませんでした」

  「きょう、A市B町の道路で、車2台がぶつかる事故がおこりました。亡くなった人はいません。けがをした人もいません。」

 2つの文を比べてみると、上の文章よりも、下の文章の方が、言葉が簡単になっています。また、文も短文になっています。まるで、子供に説明をしているような文章だと思った方もいるでしょう。「やさしい日本語」とは、このように、普通の日本語よりも簡単で、子供や外国人にもわかりやすい日本語のことを指します。

 大災害が起こった時に、ラジオなどの緊急災害情報の内容をよく理解できなかった外国人が、命を落としたり適切な支援が受けられなかったりしたという反省から、「やさしい日本語」を使おうとする取り組みが少しずつ広がってきました。

 現在では、その取り組みは「災害への備え」という枠を超えて、日本語を母語としない人たちとともに生活するための活動にもなってきています。

 たとえば、横浜市では、2013年度から「やさしい日本語」の基準を作成しています。横浜市内には150以上の国と地域からきた7万8千人を超える外国人が住んでいて、すべての言語に対応することは難しい状況です。そのため、現在では、外国人に情報を発信するときには、英語、中国語、ハングル、スペイン語、ポルトガル語に加えて、「やさしい日本語」でもおこなっているそうです。

 日本における在留外国人数は,212万1,831人(2014年12月時点)で,前年に比べても5万5,386人(2.7%)増加しています(法務省発表)。災害という緊急事態だけでなく、学校や職場など身近な場面で外国人の方と接することが増えていくでしょう。そんなとき、相手の母語で話すという方法以外に、もう1つ「やさしい日本語」を使って説明するという方法もぜひ持っておきたいですね。

 「やさしい日本語」に関する情報を発信しているWebサイトを以下にご紹介します!

≪参考リンク≫

横浜市ホームページ「やさしい日本語での情報発信について」
NHK NEWS WEB EASY 「やさしい日本語のニュース」
弘前大学人文学部社会言語学研究室『減災のための「やさしい日本語」』

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