「くずし字」アプリが、とある女子たちに人気!?

美術館や博物館で中近世に手書きされた古文書や書簡の現物を見ることがあります。しかし、文字が連なっていたり、くずされていたり、今では見かけない字が使われていたりと、専門的な知識を持たない私たちが簡単に読み解けるものではありません。
そんな中、今、「くずし字」や「変体仮名」が学べるスマートフォン向けアプリが、意外な層にうけているという新聞記事を読みました。
今年2月に大阪大学大学院文学研究科が、スマホやタブレットで「くずし字」の学習ができるアプリ「KuLa」を開発したところ、1週間で4500回以上のダウンロード数となったそうです。研究者だけでなく、一般の人の利用も多く、中でも驚くのが「刀剣女子」と呼ばれる日本刀を愛好する女性たちにも多く利用されているそうなのです。
また、古文書の解読という点でいえば、今年の3月に奈良文化財研究所と東京大学史料編纂所が「木簡・くずし字解読システム―MJIZO」を公開し、話題になりました。
漢字を日常的に使用しなくなった韓国では、古文書を読める人が減ってきているという話を聞いたことがあります。歴史・古典研究において、原典を読むことは欠かせないため、当時使われていた文字が読める人が少なくなるというのは、歴史・文化研究においても重大な事なのです。
最近は、ゲームや漫画・アニメなどが入口となって歴史や古典に関心を持つ人も少なくありません。このように誰でも簡単に利用できるアプリやシステムがあることで、幅広い層の方たちに歴史や古典の世界への興味を深めてもらうことを期待したいですね。
≪参考リンク≫
・「刀剣女子、歴女…「くずし字」学習アプリと解読システム、開発者も仰天の意外な需要」(産経新聞 2016.6.9)
・「木簡・くずし字解読システム―MOJIZO」(奈良文化財研究所、東京大学史料編纂所)