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その地域にやって来ることを「来〇」と呼ぶ地域って?

その地域にやって来ることを「来〇」と呼ぶ地域って?

 夏もようやく終盤ですね(とはいえ、京都は残暑が厳しいです)。今年はお盆休暇が長い企業も多かったと聞きますので、故郷でゆっくり過ごした人も多いのではないでしょうか。

 さて、先日、熊本県に出張した人から、熊本では誰かが熊本に来ることを「来熊」と表現すると聞きました。「来熊」と書いて「らいゆう」と読むそうです。検索してみると地元メディアでも「来熊」という表現が見出しに用いられていることがわかりました。ただし、読み方に関しては、地元の人でも「らいくま」と認識している方もいるとか。
 
 さらに、熊本県以外の都道府県でも同じようにその地域に人がやって来ることを都道府県名の一部を用いて「来〇」と呼ぶ地域があります。実際に見つかったものを以下にご紹介しましょう。

 大阪府出身の私自身は、大阪に来ることを「来阪」、大阪に故郷がある人が大阪に帰ることを「帰阪」と表現することは知っていましたが、他の地域でも同じように表現しているということまでは思い至りませんでした。「来福」については、福島県、福井県、福岡県の3県が使用していますが、おそらく地域の中でのみ使われる表現なので混乱は少ないのでしょう。都道府県以外でも、都市別に「来札」(札幌)などと表記するところもあるそうです。

 皆さんがお住まいの地域では、「来〇」という表現を用いますか?

<来〇の表現がある都道府県>
北海道:来道 (参照:北海道新聞社 「どうしんウェブ」)
青森県:来青 (参照:東奥日報社 「Web東奥」内)
秋田県:来秋 (参照:秋田魁新報社 「秋田魁新報電子版」)
山形県:来形 (参照:山形市ホームページ)
福島県:来福 (参照:福島民友 「みんゆうNet」)
千葉県:来葉 (参照:千葉市ホームページ)
東京都:来京、上京 (参照:漢字ペディア、コトバンク デジタル大辞泉) ※1 ※2
福井県:来福 (参照:福井県観光連盟ホームページ)
静岡県:来静 (参照:静岡県ホームページ)
岐阜県:来岐 (参照:岐阜県ホームページ)
京都府:来京 (参照:コトバンク デジタル大辞泉) ※1
大阪府:来阪 (参照:コトバンク 大辞林第三版)
鳥取県:来鳥 (参照:日本海新聞 「Net Nihonkai」)
岡山県:来岡 (参照:山陽新聞 「山陽新聞デジタル」)
広島県:来広 (参照:毎日新聞ホームページ)
山口県:来山 (参照:山口新聞ホームページ)
徳島県:来徳 (参照:徳島市ホームページ)
高知県:来高 (参照:高知新聞ホームページ)
福岡県:来福 (参照:西日本新聞ホームページ)
佐賀県:来佐 (参照:佐賀新聞 「佐賀新聞Live」)
長崎県:来崎 (参照:長崎新聞 「長崎新聞WEBNEWS」)
熊本県:来熊 (参照:朝日新聞デジタル・毎日新聞ホームページなど)
鹿児島県:来鹿 (参照:鹿児島市ホームページ)

※1 『デジタル大辞泉』の「来京」の項目には、「①都へ来ること ②東京,または京都へ来ること」とある。
※2 『漢字ペディア』の上京の項目には、「地方から都へ出ること。地方から東京へ行くこと。参考:江戸時代以前は、京都へ出ることをいった。」とある。

≪参考リンク≫

漢字ペディアで「上京」を調べよう

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