やすみりえの「ことのは5・7・5」Vol.4

著者:やすみりえ(川柳作家)
先日、親友が引っ越しをしました。東京で十五年ほど暮らした彼女ですが、このたび故郷の大阪へ戻ることにしたのです。日ごろ、お互いの家を行き来したり、あちこち食事にでかけてみたり・・・。いつでも気楽に会えると思っていただけに淋しい気持ちがどっと押し寄せてきました。家の距離は、車で十五分から新幹線で二時間半になってしまったけれど、なんでも話せる彼女とはこれからもずっと変わらない間柄でいたいと願っています。
ところで、私の川柳講座にはおひとりではなく友人同士で参加してくださる方もけっこういらっしゃいます。
例えば最近入ってこられた女性の二人組は、旅仲間だということでもともと大の仲良し。川柳に興味をもったきっかけは、二人で出かけた旅の思い出を川柳にしてみたいからだとおっしゃってくださいました。旅先で、写真を撮るように言葉で楽しい思い出を残すのって素敵ですよね。「いつも珍道中だから、きっとたくさん川柳が詠めると思うのよね~!」と笑い合う七十代のお二人の姿は、まるで女子学生のように若々しいです。
また、すでに何年も講座に通ってくれている男性が「りえ先生、こないだの同窓会でスカウトしてきました!」と小学校時代の友達を連れて来てくれた時も、何とも言えず嬉しい気持ちになりました。お互い地元を離れず生活してきたものの、交流は絶えていたので同窓会にて数十年ぶりに顔を合わせたところ意気投合。川柳講座に通っていると話したら、後日、一緒に行きたいと連絡が来たそうです。
定年後の時間を、また仲良く一緒に共有できる存在を得たことは川柳作りの励みにもなっていらっしゃるようです。講座の帰りに、お二人でふらりと縄のれんをくぐることも楽しみのひとつだそうですよ。
〈形いろいろハッピーを抱きしめる〉 りえ
≪著者紹介≫
やすみりえ(川柳作家)
1972年、神戸市出身。大学卒業後、本格的に川柳の道へ。恋愛をテーマとした独自の川柳作品を発表するかたわら、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の川柳コーナーの選者を務める。 また、各種コンテストの審査員も多数。文化庁国語課「言葉について考えるワークショップ」では小・中学生に句を詠む楽しさを伝える活動も行っている。『サラリーマン川柳 よりぬき傑作選』(選、監修)『50歳からはじめる、俳句・川柳・短歌の教科書』(監修)、最新句集『召しませ、川柳』等出版も多数。
文化庁文化審議会委員、(一社)全日本川柳協会会員
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