やすみりえの「ことのは5・7・5」Vol.6

著者:やすみりえ(川柳作家)
川柳の楽しみ方のひとつに「句会」というものがあります。ひとつの場所に集い、参加者が顔を合わせて句を味わうひとときです。
句会、と聞くとちょっと堅苦しいイメージかもしれませんが案外そうでもないんですよ。もちろん、自分の川柳を人様に見せなければなりませんし、時にはみんなの前で句評をしたりされたりしますから緊張しますよね。
私はそんな句会をできるだけリラックスして楽しい雰囲気のものにしたいと思っています。ですから川柳だけではなく、美味しいお料理やお酒をいただきながら進行していく内容にすることがほとんどです。実際、お仲間との句会をいくつか定期的に開いていますが、まずは会場選びも大切。幹事になってくれているメンバーと、毎回あれこれチョイスしています。 そのポイントはいくつかあるのですが、まずはお店に十数人がひとつのテーブルを囲めるスペースがあるかどうか。個室とまではいかなくても、ちょっとした仕切りのあるほうが好みです。というのも、他のお客様から見たら、ちょっと不思議な私たち。句を作り始めたとたんにウーンと全員が無言になるし、はたまた何やら急に短冊を取り出して句をしたためたり。お店全体の雰囲気を左右しかねませんものね。
お店にお願いする際には、まず、句会の集いであることをお伝えしています。すると「楽しそうなお集まりですね」とか「うちで句会をなさるのは初めてです!」など、お店側の反応も様々。いざ句会当日になると店員さんも興味しんしんの気配です。お料理を運んでくる合間に、チラっと短冊を覗いて行ったり。時には、シェフが厨房で一句詠んでくれていたこともありましたっけ。 句会のお仲間だけでなく、その場所にいる人誰もが、気軽に川柳に触れてくれて嬉しいです。句会にはいろんなコミュニケーションが溢れているのだと実感します。
≪著者紹介≫
やすみりえ(川柳作家)
1972年、神戸市出身。大学卒業後、本格的に川柳の道へ。恋愛をテーマとした独自の川柳作品を発表するかたわら、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の川柳コーナーの選者を務める。 また、各種コンテストの審査員も多数。文化庁国語課「言葉について考えるワークショップ」では小・中学生に句を詠む楽しさを伝える活動も行っている。『サラリーマン川柳 よりぬき傑作選』(選、監修)『50歳からはじめる、俳句・川柳・短歌の教科書』(監修)、最新句集『召しませ、川柳』等出版も多数。
文化庁文化審議会委員、(一社)全日本川柳協会会員
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