歴史・文化

鯨(くじら)はなぜ魚偏に京と書くの?

鯨(くじら)はなぜ魚偏に京と書くの?

 子どもの頃、くじらは魚だと思っていたら、実はほ乳類だと知って、とても驚いた記憶があります。
 昔の人もくじらは魚の仲間だと思っていたのでしょうか。「くじら」を漢字で書くと「魚偏に京」で「鯨」と書きます。

 では、なぜ魚偏に京で「くじら」なのか・・・気になりませんか?


 西暦100年に中国で作られた字典『説文解字(せつもんかいじ)』では、「鯨」という字は「魚」偏に「畺(キョウ)」という字の異体字として掲出されています。

 そこにある記述を意訳しますと、「(クジラは)海の大きな魚。魚が意味を表し、畺が音を表す。鯨とも書く」という内容です。つまり、意味を表す「魚」偏に、音を表す「畺(キョウ)」や「京(ケイ)」をあわせ、「kujirakyou.png(ケイ)」、「鯨(ゲイ)」という文字をつくったということです。

 「畺」の字は、もともと「田んぼの境界」という意味ですが、境界がしっかり定められるところから「強い」の意味に通じます。また、「京」の字は、「人工の高い丘」という意味です。「万・億・兆・京・・・」と、数の単位としても用いられていますよね。

 ここから、単に音だけで「畺」「京」という字が使われているのではなく、強い魚、非常に大きな魚という意味も込められているのではないか、とも考えられます。

≪参考リンク≫

漢字ペディアで「鯨」を調べてみよう

≪参考資料≫

加納喜光『動物の漢字語源辞典』 東京堂出版、2007年。
藤堂明保『漢字語源辞典』学燈社、1965年。

※漢字の成り立ちには諸説あります。

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