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日本語指導が必要な児童生徒数が過去最多に(文科省発表)

日本語指導が必要な児童生徒数が過去最多に(文科省発表)

 文部科学省が、6月13日に「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」の結果を公表しました。

 「日本語指導が必要な児童生徒」とは、「日本語で日常会話が十分にできない児童生徒」及び「日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じて おり、日本語指導が必要な児童生徒」を指します。

 この調査によれば、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は 34,335 人(29,198 人)で前回調査より 5,137 人(17.6%)増加し、過去最多となりました。学校種別では、小学校で 3,272 人(17.3%)、中学校で 983 人(12.6%)、高等学校で 643 人(28.3%)、特別支援学校で 84 人(47.5%)増加し、中等教育学校で 4 人(-7.1%)減少しました。

 さらに、日本語指導が必要なのは、外国籍の子どもだけではありません。

 同調査によると、日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒は 9,612 人(7,897 人)で、1,715 人(21.7%)増加し、こちらも過去最多となりました。日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒とは、帰国児童生徒のほかに日本国籍を含む重国籍の子どもや、保護者の国際結婚により家庭内言語が日本語以外である子どもなども含まれているそうです。

 つまり、現在、4万人を超える児童生徒が、日本語指導が必要な状態にあるということになります。

 一方、日本語指導が必要な児童生徒が増えているにもかかわらず、指導体制の整備が追い付いていない状況も浮き彫りになりました。
 
 日本語指導が必要な児童生徒のうち、日本語指導等特別な指導を受けている外国籍の児童生徒は 76.9%、26,410 人で前回調査より 6.0 ポイント減少し、日本国籍の児童生徒は 74.3%、7,137 人で前回調査より 4.0 ポイント減少しました。つまり、約1万人の児童生徒が日本語指導が必要にもかかわらず、特別な指導を受けられていないことになります。

 日本語指導等特別な指導を受けられていない理由については、「日本語指導を行う指導者(担当教員、日本語指導支援員等)がいないため(不足も含む)」と 回答した学校が 2,491 校と最も多い一方で、次いで多いのが「在籍学級での指導で対応できると判断するため」 が 1,907 校となりました。指導が必要な児童生徒を抱える学校や自治体数は増えているものの、学校1校当たりの当該児童生徒数が1~4名が大半ということもあり、特別な指導を行う人員や指導体制を整えることが難しいのではないかと考えられます。

 日本語がわからないと、勉強についていけず学習意欲が下がる、友人とのコミュニケーションができず、学校での居場所がなくなる、といった問題にもつながりかねません。今の子どもたちに対してすぐにでも対処しなくてはならない重要な課題となりそうです。

≪参考リンク≫

「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」(文部科学省ホームページ)

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