漢字・日本語ニュース

平成29年度全国学力テスト結果が発表。国語・漢字の課題は?

平成29年度全国学力テスト結果が発表。国語・漢字の課題は?

 今年の4月に小中学生を対象に行われた平成29年度全国学力・学習状況調査(通称:全国学力テスト)の結果が、8月28日に公表されました。今年度は、都道府県別に加えて政令指定都市別の結果も出されました。

 国語の分野では、以下のような概況が報告されました。

<小学校>
 ・ことわざの意味の理解や漢字の読みについては多くの児童が正答できた。
 ・目的や意図に沿って文章を整理したり、自分の意見をまとめたりすることや、場面に応じた言葉遣いを選択することには課題が見られた。
 ・物語文を読んで感想を話し合う場面の設問では、具体的な叙述をもとに理由を明確にして自分の考えをまと めることに課題があった。

<中学校>
 ・漢字の読みについては相当数の生徒が正答できた。
 ・目的に応じて資料を効果的に活用して話すことについては多くの生徒ができた。
 ・事象や行為などを表す多様な語句について理解するこ とに課題が見られた。
 ・伝えたい事柄について、根拠として取り上げる内容が適切かどうかを吟味する点に, 依然として課題が見られた。
 ・伝えたい事柄の根拠となる情報をアンケートで取得するという設問では、集めるべき情報の内容を構想することはできているが、その情報が必要であ ると考える理由を明確にする点に課題があった。

 漢字の読みは小中学生ともに理解度が高かった一方で、意見を構築する力、それを表現する力には課題が見られたようです。
 
 全国学力・学習状況調査では、各教科の正答率教科に関する調査の結果だけではなく、各問題の分析結果と課題、学習指導の際のポイントも公表されています。

 例えば、小学校の漢字学習では、ひらがなだけで書かれたお知らせ文を漢字に直した後、元のお知らせ文と漢字に直した文を子どもたちに比較しながら「漢字を適切に用いること」のよさを話し合わせたり、さらに、日常生活で漢字を書くときの注意点を考えたりするといった指導例が紹介されていました。単純に漢字の読み書きを覚えさせるだけでなく、漢字を使うことの意義を考えさせることで、子どもたちは、学ぶ意味や面白さが理解できると思います。

 「全国学力テスト」といえば、全国のトップ・ワーストランキングや地元の都道府県の順位と昨年度の順位からの変化に注目が集まりがちですが、どんな問題がどんな意図で出題されたのか、力をつけるにはどのような指導方法が考えられるのか、教育関係者のみならず、子どもを持つ保護者の方にもぜひその内容に注目していただきたいところです。

≪参考リンク≫

平成29年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料(国立教育政策研究所)はこちら

≪記事画像≫

あきち / PIXTA(ピクスタ)

記事を共有する