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2016年度「漢検」合格率、1位の県の独自の取り組みに注目!

2016年度「漢検」合格率、1位の県の独自の取り組みに注目!

 (公財)日本漢字能力検定協会が、2016年度の日本漢字能力検定(漢検)の都道府県別受検者数と合格率を公表しました。

 全体、小学生、中学生、高校生の年代において合格率が高かった都道府県は次の通りです。

順位 全体 小学生 中学生 高校生
1位 長野県 (63.1%) 福井県 (91.7%) 鳥取県 (68.6%) 鳥取県 (37.6%)
2位 京都府 (61.0%) 富山県 (91.1%) 大分県 (65.6%) 福井県  (36.8%)
3位 奈良県 (60.4%) 秋田県 (90.6%) 徳島県 (64.5%) 和歌山県(36.8%)
平均合格率 54.4% 86.0% 52.8% 27.9%



 全体での1位は長野県、小学生の1位は福井県、中学生と高校生での1位は鳥取県でした。

 実は、1位になった県には、漢字学習に関する独自の取り組みがあるようです。

 全体での1位となった長野県では、古くから小中学校において「白文帳」という独自の漢字学習ノートを用いて、漢字学習を積極的に行っています。実は、小学校での「漢検」実施率が全国の中で非常に高いのも特徴です。

 小学生で1位となった福井県は、漢字学者白川静博士の出身地であることから、白川文字学に基づく独自の漢字教育を県内の小中学校で行っている県でもあります。県教委が小学校用に作成した漢字解説本『白川静博士の漢字の世界へ』(平凡社)は、漢字の成り立ちや由来を想像しながら学ぶことで、子どもたちが楽しく漢字を学ぶことができると全国からも注目され、現在は一般にも販売されています。福井県は、全国学力テストでも毎年上位にランクインしており、県独自の取り組みが成果として表れていると評価されています。
 
 また、中学生、高校生で1位となった鳥取県では、小学1年生から中学3年生までを対象にした『とりっこドリル』という県オリジナルの学習ドリルを発行しています。約9割の小中学校が家庭学習用に配布しているそうです(読売新聞鳥取版記事より)。『とりっこドリル』は、インターネット上でも公開されています。国語と算数・数学の2教科あり、国語の漢字学習の分野では、漢字の書き取りだけでなく、成り立ちの学習や地元の行事や名産品に関する言葉の知識など、子どもたちの興味を引くような内容が盛り込まれています。ドリルに出てくる「トリリン」と「らっきぃ」というキャラクターも気になるところです。

 各県の取り組み内容が気になる方は、次の参考リンクもご覧ください。

≪参考リンク≫

漢検取組事例 「長野の伝統「白文帳」学習の力試しとして」(長野市立三陽中学校)
平凡社ホームページ『白川静博士の漢字の世界へ』(福井県教育委員会編)
福井県漢字教育ネットワーク「白川文字学」のホームページ
鳥取県教育センターホームページ 『とりっこドリル』について
漢検ホームページ 年度・回ごとの級別志願者数・合格者数データ

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