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日本語を大切にしている人が増加傾向。~平成27年度「国語に関する世論調査」より~

日本語を大切にしている人が増加傾向。~平成27年度「国語に関する世論調査」より~

 文化庁は、9月21日に平成27年度「国語に関する世論調査」の結果を公表しました。この調査は、文化庁の国語施策の参考とするために平成7年から毎年行われているものです。
 
 この世論調査は、16歳以上の男女を対象に行われており、今年の調査項目は、以下の6つでした。
(1)言葉への関心について
(2)場面ごとの敬意表現について 
(3)情報化の中でのコミュニケーションについて 
(4)「ら抜き」,「さ入れ」,「やる/あげる」について
(5)言葉に対する感覚について 
(6)慣用句等の意味・言い方について
 
 では、今回の調査結果について簡単にご紹介していきましょう。

(1)言葉への関心・・・日本語を大切にしている人が増加傾向?

 毎日使っている日本語を大切にしているかどうかの質問に対して、「大切にしていると思う」(34.9%)と「余り意識したことはないが,考えてみれば大切にしていると思う」(43.6%)と回答した人を合わせると、「大切にしている 」と回答した人たちは78.5%にのぼりました。過去に同様の質問をした平成13年度、20年度と比較すると、「大切にしている」と回答した人は増加傾向にあるようですが、「大切にしていると思う」の回答は、平成20年度調査から今回調査にかけて3ポイント減少しました。(図1参照)

 さらに、年代別にみると、「大切にしていると思う」は,年代が高いほど高くなる傾向を示し、70代以上では51.8%となりました。すべての年代を通じて、「特に大切にしてはいないと思う」と「大切にしているとは思わない」と回答した人は1割を切りました。(図2参照)

 「日本語を大切にしている」と考えている人たちがこの14年間で10%近くも増えていることについては、普段、日本語・漢字を扱っている者としてとても嬉しく感じます。ただ、若い年代は、普段「日本語」についてあまり意識をしていないというデータにも読み取れます。

 新聞やテレビなどでも今回の調査結果については報道されていましたが、(3)の「ら抜き」言葉の結果や(6)慣用句の意味・使い方の結果に基づいて、正しい(元来の)意味や用法で日本語を使っているかといった視点での報道が多い印象を受けました。

 適切な言葉の使い方を啓発していくことも大切ですが、まずは多くの人が「日本語」に愛着を持ち、意識を向けてもらえるようにすることを忘れないようにしたいものです。


図1 出典:文化庁 平成27年度「国語に関する世論調査」結果
日本語を大切にしている人の割合

図2:出典:文化庁 平成27年度「国語に関する世論調査」結果
年齢別の日本語を大切にしている人の割合

≪参考リンク≫

文化庁 平成27年度「国語に関する世論調査」の結果はこちら

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