パソコンで扱える漢字が6万字に。国際規格化が完了。

12月25日、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)国際標準推進センターは、2010年9月から推進していた「文字情報基盤整備事業」において、漢字6万字の国際規格化が完了したことを発表しました。
IPAの発表によれば、この事業は、内閣官房IT総合戦略室、経済産業省と共に進められてきたもので、行政の実務で求められる人名や地名等の正確な表記をコンピュータで可能にするため、約6万字の漢字について、文字フォントの整備や文字コードの国際規格化等を行ってきたものです。このたび12月22日に文字コード国際規格書の最新版である、ISO/IEC 10646 (Universal Coded Character Set) 第5版がISO(国際標準化機構)より発行されたことで、約6万字の漢字全ての国際規格化が完了したことがわかりました。
「6万もの漢字なんて使わないじゃない?」と思うかもしれませんが、実はこのニュースは私たちの生活に密着したところに関係しています。
例えば、皆さんの周りにパソコンでは出ない漢字がお名前に使われている方はいませんか?よく例にあがるのは、ワタナベさんの「ナベ」の漢字。パソコンですぐに出てくる「辺」・「邊」・「邉」の他に、これらの漢字とは少し異なる字体の漢字が戸籍に記載されていることがあります。しかし、通常のパソコンではこれらの漢字を入出力することはできません。そのため、これまでは行政機関などでパソコンでは出てこない漢字を管理する場合、自治体ごとに「外字」として新たな文字コードをつけて登録していました。しかし、外字の文字コードは自治体やシステムごとに異なるため、自治体やシステムを超えての電子文書の共有は困難でした。「国際規格化の完了は、こうした行政機関の相互運用の難しさや外字作成のコストの解消になる」とIPAは発表しています。
同規格の最新版は、ISOのウェブサイトより無料で入手することができますので、気になる方はチェックしてみてください。
≪参考リンク≫
IPA 独立行政法人情報処理推進機構
12/25発表リリース https://www.ipa.go.jp/about/press/20171225.html
ISOウェブサイト http://standards.iso.org/ittf/PubliclyAvailableStandards/
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